世阿弥の似顔絵

世阿弥のイラスト

世阿弥 / 観世元清

ぜあみ / かんぜもときよ(1363?-1443?)
室町前期の能役者
大和猿楽観世流二世大夫

観阿弥の長男。幼少より父と共に猿楽を通じて洛中の評判を集め、摂政二条良基や将軍足利義満の寵愛を受けた。父の没後に観世大夫の名を継ぎ、優美な歌舞による幽玄の世界「夢幻能」を大成。しかし次第に人気を奪われ、将軍義教からは事々に弾圧されるようになる。さらに次男の出家遁世、長男の早世が相次ぎ、1434年には佐渡への流刑を言い渡され、不遇の晩年を過ごした。数多くの謡曲を残し、「風姿花伝」「花鏡」といった芸能論も著した。

そもそも、幽玄の境というは、まことにはいかなる所にてあるべきやらん。まず、世上の有様をもって、人の品々を見るに、公家の御たたずまいの位高く、人望余に変れる御有様、これ、幽玄なる位と申すべきやらん。しからば、ただ美しく柔和なる体、幽玄の本体なり。

「花鏡」

関連人物

  • 観阿弥(猿楽師):父。観世流初世大夫。
  • 観世元雅(能役者):長男。将来を嘱望されたが、父に先立って急死。
  • 足利義満(第3代将軍):庇護者。「世阿弥」の名を与えた。
  • 足利義持(第4代将軍):猿楽よりも田楽を好み、ライバルの増阿弥を厚遇。
  • 足利義教(第6代将軍):音阿弥を偏愛し、世阿弥父子の公演活動を弾圧。
  • 二条良基(公卿):庇護者。「藤若」の名を与えた。
  • 道阿弥(能役者):近江猿楽の役者。世阿弥と共に将軍義満の愛顧を受けた。
  • 増阿弥(能役者):田楽新座の役者。田楽や尺八で将軍義持の愛顧を受けた。
  • 音阿弥(能役者):甥。将軍義教に寵愛された。
  • 金春禅竹(能役者):娘婿。伝書の相伝を受け、その芸を理論的に深化。

参考資料

  • 入江美法:世阿弥木像(正法寺蔵)
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