イブン・ルシュド / アヴェロエス
Ibn Rushd / Averroes(1126-1198)
西方イスラームの哲学者・医学者
ムラービト朝のコルドバ出身。法学・哲学・医学を修め、1182年にムワッヒド朝の主侍医として仕える。カリフの保護下でイスラーム世界に伝わるアリストテレス思想を研究、イブン・シーナーのネオプラトニズム的要素を批判し、純正なアリストテレスの注釈に努めた。また哲学と信仰の融和を図り、哲学擁護の書「矛盾の矛盾」でガザーリーに反駁。その思想はキリスト教のスコラ哲学に継承され、ラテン・アヴェロイスムとして形成された。
関連人物
- アブー=ヤアクーブ・ユースフ(ムワッヒド朝君主):庇護者。
- アリストテレス(哲学者):イスラーム哲学に多大な影響を与えた「第一の師」。
- ファーラービー(哲学者):イスラーム世界「第二の師」。
- イブン・シーナー(哲学者):アヴェロエスが批判的に継承した。
- ガザーリー(神学者):「矛盾の矛盾」で哲学批判を反駁された。
- イブン・バーッジャ(哲学者):アヴェロエスに先駆して「知性唯一説」を提唱。
- イブン・トファイル(哲学者):前任の主侍医。アヴェロエスを後継に推薦。
- マイモニデス(ユダヤ哲学者):同郷。アヴェロエスの影響を受けた。
- トマス・アクィナス(神学者):アヴェロエスを批判的に継承。
- イブン・ハルドゥーン(歴史家):アヴェロエスの影響を受けた。