和泉式部
いずみしきぶ(970年代-1025以降)
平安中期の歌人
大江雅致の娘。後に和泉守となる橘道貞と結婚し、小式部内侍を生んだ。やがて夫と別居し、為尊親王、次いで敦道親王の求愛を受けるも共に死別。1009年頃より一条天皇の中宮彰子に女房として仕え、その縁で藤原保昌に再嫁した。父から勘当されるほどの奔放な恋愛遍歴には多くの風評が立ったが、真情を率直に詠い上げる恋歌や挽歌は高く評された。また敦道親王との恋の顛末を物語風に綴った「和泉式部日記」の作者と目されている。
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢うこともがな
もうじき私はこの世からいなくなるでしょう。
あの世への思い出に、もう一度だけ貴方にお逢いできたなら。「後拾遺和歌集」
小倉百人一首・第56番
関連人物
- 橘道貞(官人):先夫。藤原道長の側近。
- 小式部内侍(歌人):道貞との間の娘。
- 為尊親王(冷泉天皇の皇子):交際。
- 敦道親王(冷泉天皇の皇子):為尊の弟。為尊没後に交際。
- 藤原保昌(藤原道長の家司):後夫。
- 藤原彰子(一条天皇中宮):式部が女房として出仕。
- 藤原道長(公卿):式部を「浮かれ女」と評した。
- 紫式部(歌人):同僚。「素行に感心しないが歌は上手い」と評した。
- 赤染衛門(歌人):同僚。歌の贈答をするなど交流。
- 伊勢大輔(歌人):同僚。
参考資料
- 狩野探幽:和泉式部像(東京国立博物館蔵)
参考リンク
- 和泉式部の歌(やまとうた)