芥川龍之介
あくたがわりゅうのすけ
(1892-1927)
大正時代~昭和時代初期の小説家
東京京橋出身。東京帝国大学英文科在学中に菊池寛らと第三次「新思潮」を創刊し、1916年発表の「鼻」で夏目漱石に認められ文壇にデビュー。古典文学に取材した「羅生門」「芋粥」「地獄変」などで人間の内面を描き、芸術至上主義を示す。21年の中国視察からの帰国後、次第に心身を害するようになり、私小説的で厭世的な作風へ移行。「河童」「歯車」などを執筆後、36歳の若さで自殺した。のち菊池らにより「芥川龍之介賞」が創設された。
誰もまだ自殺者自身の心理をありのままに書いたものはない。それは自殺者の自尊心やあるいは彼自身に対する心理的興味の不足によるものであろう。…君は新聞の三面記事などに生活難とか、病苦とか、あるいはまた精神的苦痛とか、いろいろの自殺の動機を発見するであろう。しかし僕の経験によれば、それは動機の全部ではない。のみならず大抵は動機に至る道程を示しているだけである。…少なくとも僕の場合は唯ぼんやりとした不安である。何か僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安である。
昭和2年(1927)7月
「或旧友へ送る手記」(抜粋)
関連人物
- 夏目漱石(小説家):師。
- 森鴎外(小説家):芥川が影響を受けた。
- フランス(小説家):初期の芥川が影響を受けた。
- ストリンドベリ(小説家):初期の芥川が影響を受けた。
- 曲亭馬琴(読本作者):「戯作三昧」の題材。
- 菊池寛(小説家):第三次「新思潮」同人。
- 久米正雄(小説家):第三次「新思潮」同人。
- 内田百間(小説家):漱石門下の兄弟子。
- 谷崎潤一郎(小説家):文壇の先輩。誌上で文学論争をした。
- 室生犀星(詩人):友人。
- 芥川也寸志(作曲家):三男。
- 太宰治(小説家):芥川の影響を受けた。
(2017/12/13 改作)