紀貫之
きのつらゆき
(872?-945?)
平安時代前期の歌人・貴族
「古今和歌集」撰者
紀望行の子。大内記、土佐守、木工権頭などを歴任。藤原氏の勢威に押されて官人としては不遇だったが、若くして歌才を示して歌壇で活躍。905年、醍醐天皇の命を受け、初の勅撰和歌集「古今和歌集」の編纂に参画し、歌論的序文「仮名序」を草するなど当代一と目された。歌風は理知的・分析的とされる。また「土佐日記」は、任地土佐からの帰京の旅路を一女性に仮託して綴った紀行文で、仮名による日記文学の先駆として名高い。
和歌は人の心を種として、多くの言葉となって生まれたものである。
…花のそばで鳴くウグイスや水辺のカエルの鳴き声を聞けば、生きとし生けるもの、歌を詠まないものがあろうか。力を入れずとも天地の神々を動かし、目に見えない鬼神をも感動させ、男女の仲を睦ませ、猛々しい武者の心をも慰める、これが歌なのである。「古今和歌集・仮名序」(現代語訳)
関連人物
- 宇多法皇(第59代天皇):歌合を主宰。
- 醍醐天皇(第60代天皇):「古今和歌集」撰進の命を下した。
- 藤原定方(公卿・歌人):庇護者。兼輔と共に醍醐朝の宮廷歌壇を支えた。
- 藤原兼輔(公卿・歌人):庇護者。紫式部の曾祖父。
- 清原深養父(歌人):交流。清少納言の曾祖父。
- 紀友則(歌人):従兄弟。「古今和歌集」共編者。
- 凡河内躬恒(歌人):「古今和歌集」共編者。
- 壬生忠岑(歌人):「古今和歌集」共編者。
- 紀淑望(歌人):「古今和歌集」真名序の作者とされる。
- 紀時文(歌人):子。「後撰和歌集」編者の一人。
参考資料
- 菊池容斎:「前賢故実」より
参考リンク
- 紀貫之の歌(やまとうた)