空海 / 弘法大師
くうかい / こうぼうだいし
(774-835)
平安時代初期の僧・文人
日本真言宗開祖
讃岐国出身。俗姓は佐伯氏。官吏を目指して上京し18歳で大学寮に入るが、中退して山林での修業生活へ転じた。804年に長期留学僧として唐へ渡り、長安の青龍寺で密教を学ぶ。帰国後は京都高雄山寺(神護寺)に入り、比叡山の最澄と交流。816年、嵯峨天皇から高野山を下賜されて金剛峯寺を開創、東寺(教王護国寺)を真言宗の根本道場とする。後年は執筆活動のほか、故郷の満濃池の修築や、民間教育として綜芸種智院の設立に尽力した。
密教の奥義は、言葉によって体得する事を良しとはしていません。
ただ以心伝心、心から心へと伝えるものなのです。
言葉とは糟粕であり、言葉とは瓦礫です。
糟粕や瓦礫に執着すれば、真実を失ってしまいます。
真実を捨て偽物を拾うのは、愚かな人のする事です。「性霊集補闕鈔」巻十
経典の借覧を求めた最澄への返信
関連人物
- 阿刀大足(学者):外叔父。伊予親王の侍講をしていた。
- 恵果(唐の密教僧):師。長安青龍寺の住持。
- 嵯峨天皇(第52代天皇):高野山開山の勅許を下した。
- 淳和天皇(第53代天皇):空海が仏書「十住心論」を奉献した。
- 醍醐天皇(第60代天皇):空海に「弘法大師」の諡号を与えた。
- 最澄(日本天台宗開祖):空海に密教を師事するが、後に決別。
- 橘逸勢(書家・官人):遣唐使船で同乗。嵯峨天皇を含め三筆と称される。
- 真済(真言宗の僧):弟子。漢詩文集「性霊集」を編纂した。
- 真雅(真言宗の僧):実弟で弟子。淳和天皇の護持僧。
- 円珍(天台宗の僧):甥。
- 高岳親王(平城天皇の皇子):薬子の変に連座して出家し、弟子になった。
- 藤原良房(公卿):伝記「大僧都空海伝」を撰した。
参考資料
- 空海像(東寺蔵)
(2017/09/08 改作)