足利尊氏 / 足利高氏
あしかがたかうじ
(1305-1358)
鎌倉時代末期~南北朝時代の武将
室町幕府初代征夷大将軍
足利貞氏の次男。鎌倉の有力御家人だったが、後醍醐天皇の挙兵を鎮圧する途上で倒幕を宣言し、六波羅探題を攻略する。やがて建武の新政が行き詰まると、中先代の乱の鎮圧に乗じて政権を離脱。西国や畿内での合戦を征して上洛し、光明天皇を擁立(北朝)、征夷大将軍として新たな武家政権を開いた。しかし実弟直義と執事高師直の対立から内紛(観応の擾乱)が起き、後醍醐方(南朝)の抵抗にも悩まされ、幕府の安定化は後代に持ち越された。
この世は夢のように儚うございます。尊氏に道心をお与え下さり、後生をお助けいただきとうございます。すぐにでも遁世致しとうございますれば、道心をお与え下さりとうございます。今生の果報は直義にお与え下さり、安穏にお守りいただきとうございます。
建武3年(1336)8月17日
清水寺奉納願文(意訳)
関連人物
- 北条高時(鎌倉幕府第14代執権):烏帽子親。偏諱「高」を与えた。
- 後醍醐天皇(第96代天皇):六波羅攻略の功により偏諱「尊」を与えた。
- 光明天皇(北朝第2代天皇):光厳上皇の弟。幕府創設に先立って擁立された。
- 足利直義(副将軍):実弟。良き補佐役だったが派閥抗争へ発展した。
- 高師直(初代執事):側近。足利家の家政と軍政を統括して権勢を振るった。
- 足利義詮(第2代将軍):嫡男。直義の失脚後、鎌倉から召還され幕政に参画。
- 足利基氏(初代鎌倉公方):次男。義詮の幕政参画に伴い、鎌倉へ下向。
- 足利直冬(直義方の武将):庶子。西国・九州で反尊氏勢力を率いて転戦。
- 護良親王(後醍醐の皇子):政敵。建武政権内の尊氏の動向をいち早く警戒。
- 楠木正成(南朝方の武将):敵ながら互いの器量に一目置いていたとされる。
- 新田義貞(南朝方の武将):足利家の従属下にあったが、建武政権内で敵対。
- 夢窓疎石(臨済宗の僧):尊氏・直義兄弟が深く帰依した。
参考資料
- 伝足利尊氏像(浄土寺蔵)
- 足利尊氏木像(等持院蔵)
- 足利尊氏坐像(豊後安国寺蔵)
参考リンク
- 足利尊氏の歌(やまとうた)
(2017/11/01 改作)